研修歳時記:新入社員のフォローアップ
9月です。なのに関東方面では、この夏最高気温を記録したとか。
去りゆく夏の最後の悪あがきでしょうか。(そうであってほしいものです)
今年入社された新入社員のみなさんは、猛暑にめげず、全員揃ってがんばってますか?
そろそろ新入社員のフォローアップ研修を準備されている企業も多いことでしょう。
1年間の折り返し地点にさしかかるこの時期に、改めて新人を集めることには、以下のような点で意味があると思います。
- 他職場に配属された同期との情報交換を行うことで、相互に刺激しあい、励ましあう。
- 不安や不満を抱えたたまま、やる気をなくしたり、退職することを防ぐ。
- 基本的なビジネスマナーやルールを再確認し、定着を図る。
- これまでの振り返りを行い、1年後の目標に向かって、さらにモチベーションを高める。
ところで、入社半年目というのは、新入社員にとってどういう状況なのか、ちょっと書きだしてみましょう。
良くも悪くも、以下のような状況が見受けられるようです。
◆バラツキが生じる頃
入社時は全員が同じスタートラインに立っていたはずなのに、ここに来てバラツキが出てきます。
そもそも能力や資質に個人差がある上に職場も仕事内容も違うわけですから、差が生じてくるのは当然のことです。
もっとも、同じ職場に配属された同期同士でも、差が生じて来る頃でもありますし、本人もそれを意識しはじめます。
半年も経つと、職場によっては一人立ちが要求され、OJTを受けながらも一まとまりの仕事を任されるようになります。そこで、がぜん張り切る人もいれば、逆に不安を募らせる人も出てきます。
◆慣れてくる頃
良い意味でも悪い意味でも、慣れが生じてきます。
仕事もそこそこ覚えてきたし、先輩や同僚ともなじんできた、そんな頃です。ややもすると、惰性に流れたり、慣れあい関係になったりしがちです。
また、これは職場の風土にもよりますが、当初は守られていたはずのマナーやルールも、だんだんと守られなくなってきます。
人によっては、「この程度のことをしておけばいいんだな」と仕事に対して線引きをしてしまう場合もあります。
会社の全体像や問題点が見えてくる頃です。職場内で交わされる「本音」も耳に入ってきます。
入社前に抱いていたイメージと現実の姿のギャップに、場合によっては、「こんなはずでは......」と失望感を感じる人もいるでしょう。
以上のような状況の中で、入社時に抱いた不安とは異質の、新たな不安や疑問が生じてくるはずです。
では入社半年頃に感じる不安にはどういうものがあるか。仕事と人間関係に関する側面を列挙してみましょう。
- 「自分にはこの仕事は向いてないのでは?」
- 「自分の能力ではやっていけないのでは?」
- 「この仕事を続けて、将来何の意味があるのか?」
- 「自分がしたかったことは果たしてこういうことなのか?」
- 「仕事の分担や指導内容に対して納得できない」
- 「先輩や上司を尊敬できない」
- 「職場内の人間関係が煩わしい。なじめない」
- 「同期はバリバリやってるのに自分は……」
- 「先輩のようにうまくやれる自信が持てない」
- 「いろいろなことを教わったけど、今一つよくわかってない」
- 「目標となる人(こと)がいない」
もちろん不安を抱く人ばかりではありません。意欲的で元気な人もいることでしょう。
どちらがどうということではなく、それぞれに自分の成長ぶりを再確認してもらうこと、そして、目標へ向けて勇気と意欲が持てるよう、後押しをしてあげることが大切なのだと思います。
* * *
ところで、半年目というのは、新人だけでなくOJTリーダーにとっても一つの節目になります。
この頃には当初のOJT計画もどこへやら、育成目標を見失ったまま、いきあたりばったりの指導がされていることも少なくありません。
OJTリーダーは第一線としての活躍を期待されながら、人の育成という大仕事を担っているわけです。
実務と育成の両方を、バランスよく行っていくことは困難なことに違いありません。
その上、新人と一口に言ってもタイプは十人十色、対応のしかたにとまどい悩むことも多いはず。
新人のフォローと同時に、OJTリーダーに対しても情報交換の場とフォローの機会をぜひ設けてほしいと思います。
半年という節目を設けることは、新人にとってもOJTリーダーにとっても、より大きく育つための弾みになるはずです。
天高く馬肥ゆる秋。貴社の大切な人材が大きく育ちますように。