研修歳時記:生涯能力開発給付金
そろそろ書類の提出期限が迫ってきましたが、ご準備はいかがですか?
厚生労働省の「生涯能力給付金」制度を利用すると、社員教育にかかった費用の一部が、企業に助成されます。
ご存知なかった方、「制度があるのは知っているけど、手続きが面倒そうで......」と導入を先送りにしている方、または既にルーチン業務として定着しているけど、本当はよくわかっていないという方、
そんな方々のために、今回は、助成を受けるためのポイントをざっくりと解説しましょう。
●助成を受けるためには?
* まずは予め計画書を提出する必要があります。毎年1回、期間は4月?6月末まで。
* 訓練実施後の申請は年2回(10月と4月)。実際に修了した段階で初めて助成の対象になるわけです。
●助成の種類は?
「生涯能力開発給付金」には以下の2つの種類があり、それぞれ助成内容が異ります。
(給付金の支給対象については、ここでは触れません。長くなるから......)
* 「能力開発給付金」...社命による教育訓練が対象になる。
* 「自己啓発助成給付金」...厚生労働者の申し出による教育訓練が対象になる。
●どんな教育が助成対象になる?
大事なポイントは次の3つです!(ちょっと乱暴ですけど)
* 計画的な教育であること。ただし計画の途中変更は可能です。
* 1訓練コースが延べ10時間以上であること。
* 実際に受講者が訓練を修了していること。
<対象とならないもの>
OJTや役員講話、社内業務や自社製品に関する研修、QCサークルなど、企業固有のノウハウや活動に関するものは対象になりません。
海外研修、洋上セミナーなど豪勢なものや観光・娯楽・親睦の要素を含むものもダメ。禅寺研修など精神修養の類も対象外です。
●教育訓練の対象者となるのは?
* 雇用保険の被保険者である従業員が訓練対象となります。
* パートタイマーでも、6カ月以上の常時雇用、またはその予定であれば対象者として認められます。
さて、訓練内容がクリアされたという前提で、訓練形式別に制約条件をみてみましょう。
通常のパンフレットでは、「制度の種類→訓練形態」という説明がされています。これがけっこうややこしい......。
よってここでは「訓練形態→制度の種類」 つまり、「この教育訓練はいったい対象になるのか」という逆引の視点で解説します。
1)企業内研修の実施、外部主催の公開セミナー等への参加は?
→概ね「能力開発給付金」の対象となります。
* 訓練は2種類以上であること。
年度内に2種類ということですから、計画書を提出するまでにすでに修了しているもの(例えば新入社員研修など)であっても計画書に記入できます。
* 1訓練が述べ10時間以上であること(例外除く)。
例えば、10時?17時までの1日公開セミナーへの出席した場合は、述べ7時間ですから対象となりません。
* 社内研修の場合は受講対象が2人以上であること。
外部が主催する研修への参加は、1人でも認められます。
2)通信教育の受講
→概ね「自己啓発助成給付金」の対象となります。
* 1コースが3カ月以上12カ月以内であること。
*訓練内容によって対象者の年齢制限があります。中小企業の場合は少なくとも25歳以上、大企業の場合は35歳以上でなければ給付対象となりません。
3)各種学校への通学
→概ね「自己啓発助成給付金」の対象となります。
* コースを修了、または出席率が基準を満たしていること。
通学した期間も給料を支払っていた場合(有給教育訓練休暇を与えた場合)とそうでない場合とで、給付内容が異ります
一部の例外を除き、1コースについて10労働日以上であることが条件です。1コースの訓練時間、1日の訓練時間にも細かく制約がついてるので注意が必要です。
さていかがでしょう。みなさまの会社で行う教育訓練は該当しそうですか。
ここまでは第一関門です。
この先、企業規模、訓練の内容、訓練の種類、対象者の年齢などによって、助成内容がさらに細かく枝分かれしてます。ふぅ......。
詳細はリンクをたどってみてくださいね。