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七色新入社員


[K] 仕事・職場

ナビゲートにも学卒の新入社員が1名入社しました。

弊社としては初めての新卒採用です。もともと業種的にも実務経験や組織で働いた経験のある人でないと難しいと言われているのですが、それより何より小さな会社ですので新卒採用なんて当分無理だと思っていました。ところが、人との出会いや縁は不思議なもので、いろんなきっかけや経緯が重なって、めでたくナビゲートの新卒入社第1号が誕生しました。この春、首都圏の私立大学を卒業した女性です。

いい題材ができたとばかり、「今年の新入社員の傾向は」などと世間によくあるパターンの紹介レポートをこのサイトでもやってみようかと目論んでいたのですが、なかなかどうして、手ごわい。入社して1カ月が過ぎたのに、どうしても「こんなタイプだな」と把握させてくれません。

世間で言われる若者像とは違って、非常に礼儀正しく、周囲への配慮もきちんとできます。ところが、ガサツとか下品とかではないのですが、「お行儀が悪い」と感じるしぐさを平気でやっていることがあります。また、与えておいた課題をこなすのにすばらしい集中力をみせてくれることもあれば、私の目の前でうたた寝しはじめることもあります。

先日の社内の勉強会では、私も少し緊張した場面がありました。彼女の発表のなかで、比較的多くの社会人に反感を買いそうな発言が数箇所あり、案の定、先輩スタッフからやや厳し目の指摘が出されました。ところが彼女は、それ以上の不要な反発を誘うことなく、自分の意見もきちんと表明して最後は笑顔で話をまとめるなど、ベテランの社会人でもちょっとできない芸当をやってのけました。

新たに教わったビジネスマナーや組織人としての常識などに対する彼女の態度はやや複雑です。非常に素直に受け入れているようでもあり、どこか反発しているようでもあります。「これまで知らなかったことを学べて良かった」という言葉はうそではなさそうですが、それを実践する自分に違和感を感じているようにも見えます。そのせいか、基本動作はまだ安定しないところもありますが、注意するより「もうしばらく悩んでなさい」と見守る気にさせられてしまっているのも不思議な感覚です。

能力面でも評価に迷ってしまいます。学力の高さや頭の良さは入社前からわかっていたので、入社後に与える課題はやや難し目に設定しておきました。しかし、ひるむどころか自分のための課題が準備されていたことを喜んでいるようでした。そう見えたので安心していると、出てくるアウトプットはすばらしかったり雑だったりでこれまた安定しません。

それでも理解力や思考力は高く、課題をこなすスピードもまずまずだなと思っていました。そこで先日、ある作業が大量に発生したので彼女にもやらせたところ、手際は悪いし、気が無いし、同じ時間で一緒にやったパートスタッフの半分しかこなせませんでした。私としては、先輩スタッフの技能の高さを再認識できたせいか、なぜだかちょっとうれしくなった一幕でした。

パソコンが普及した影響か、最近の若い人は文章力が年々上がっているとは感じていたのですが、彼女も例外ではありません。うまいし、よく文章を書くようなので、概念や論理を組み立てたり、組み替えたりすることに非常に長けています。この点は私自身や私の周囲と比べても、世代として相当進歩している点なのかもしれません。

彼女の場合、それに加えて感受性の面で異質なのか、彼女の書く文章には独特の世界があります。会社ではかなり抑えて書いているようですが、それでも物事を捉える視点、感じ方、表現の仕方などは独特で、読む人を感心させることも怒らせることもできる力を秘めています。かと思っていたら、直接話をしていると極めて常識的で拍子抜けさせられることもあり、とても大人のように感じたり大人を小ばかにしているように感じたりで、私の戸惑いは増すばかりです。

「あなたはいったい何色ですか」と問いただしてみたい気もしますが、ひょっとすると彼女に接した人はみんな違う色に見えているのかもしれません。

この新入社員。とても現在の標準の若者とは思えないのですが、一人の中でいろんな色を持ち合わせていてアンバランスに共存しているという点では、世代を超えて新入社員みんなに共通しているようにも思えます。周囲がどれかの色に決めつけてもいけないし、端からごちゃごちゃにかき混ぜてくすんだ灰色にしてしまってはいけないんだろうなと思います。

この先、何色と何色を輝かせていくのか。それはたぶん、周囲の色を確認しながら、自分で選択していけるはずだと思います。ひょっとすると今はまだ、組織の中で自分の色の出し方がうまくいかなかったり、組織の色に染められやしないかと不安を感じたりとか、何らかの戸惑いもあるのかもしれません。彼女の場合も、まだ何もわかってないのではなさそうで、自分自身も周囲も非常に客観的に見えていて、そのうえでのジレンマや違和感や好奇心なんかのコントロールの仕方を模索しているようにも感じます。

でも、七色新入社員さん。

そこはもうあなたのキャンバスですよ。この先、いつまで今の組織にいるかはそれぞれでしょうけど、しっかり自分の絵を描いてくださいね。

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