あらたうと日の光
ナビゲート通信No.83でもご紹介しましたが、「おくのほそ道」を読んでいたら日光に行きたくなったので、母を連れ、7月初めに週末を利用して行ってきました。
その週末の天気予報は雨でしたが、さいわい出発日の土曜はまだ降り始めていませんでした。
雨が降らないうちにと思い、日光駅に到着したその足で中禅寺湖の方へ向かうことにしました。
いろは坂のうねる道をバスはスイスイと進み、第1目的地の華厳の滝に到着です。
そのすごい水量に言葉を失いました。滝の轟音を聞いていると、頭の中が洗われていくような気がします。滝からそそぐしぶきに肌が湿ってゆきます。幻想的な世界です。
ふと、忘れていた記憶がよみがえりました。前回、ここに訪れたのは小学校の修学旅行。そのとき確か滝は流れていなかったような......「見られなかった」という残念だった気持ちを思い出しました。写真では何度も見ているので、見たことがないことを忘れていたのです。体験するというのは不思議なものですね。
次に向かったのは、イタリア大使館別荘記念公園です。
別荘はA・レーモンドが設計したという美しい模様の建物でした。広縁の椅子で中禅寺湖を見ながら休憩していると、とても優雅な気持ちになります。歩いて行くにはかなりの距離がありましたが、行った甲斐があった場所でした。
別荘からバス停までの帰り道途中に中禅寺があります。
胴体は根のついたままで彫られたという立木観音は、穏やかな表情をされていました。その尊厳な姿は、翌日行った華やかな東照宮などとはまた違う、とても印象深いものでした。
その日の見学はこれで終了。宿に向かいます。
いろんなパンフレットで悩んだ末に選んだ宿。電車とセットのツアーでは予約いっぱいだったで、わざわざネットで予約しました。「温泉と和室でくつろぐぞーっ」と思っていたのですが......。
宿に到着すると、どうも様子が違います。予約したのは「ホテル」のはずが、そこはどう見ても「ペンション」。部屋も和室ではなく洋室。
「あれれ?」と思っていたら、とても似た名前の宿だったようです。寝る前に地図を見ていたときにやっと気がつきました。しかし、ペンションのお料理はとてもおいしく、浴場もくつろげたので、間違えてかえってよかったのかもしれません。
そして翌日、第2目的地の東照宮に行きました。
今の価値にして400億円をかけたという東照宮の絢爛豪華な装飾には圧倒されました。
周辺にある輪王寺、二荒山神社、大猷院とあわせると、見所がたくさんありすぎて、かえってそれぞれの記憶はあまり残っていません。むしろ、お坊さまがもっともなお話とともに「これをお勧めします」と紹介したお守り、数珠、破魔矢などの印象が強いです。もちろんご利益にあやかろうとついのせられて買いました。日光は商売上手だなあと、失礼ながら思ったのでした。
ところで、松尾芭蕉、日光については2つの句を作っていますが東照宮などのきらびやかなところについてはありません。東照宮にも特別に参拝したようですが、芭蕉にとっては日光山の自然そのもののほうが感動的だったのかもしれません。
次回は、清心な気持ちで訪れたいです。
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参考:おくのほそみち(全) 角川書店=編
←大猷院にはたくさんの灯籠があります。諸大名から奉納されたものだとか。その昔、自分の灯籠のある場所までしか参拝できなかったそうです。 東照宮の狛犬です。→ この姿の狛犬はめずらしいと思います。 |