世界を旅する舌
地方から友人が横浜に遊びに来たので、横浜中華街へ行きました。
月に数回行った時期もありましたが、ここ数年は足が遠のいていました。
久々の中華街は、中国に限らず、アジア系のフードやグッズが増え、ショッピング街という感じになっていました。そのおかげか、若い人の割合も増えたような気がします。
「○○雑誌で紹介!」「本場○○!」というようなキャッチコピーで行列をつくっているお店を横目で見ながら、私は前によく行った小さな麺屋さんを探しました。うろ覚えの記憶を頼りに、同じ道を何度も行き来したあげく、なんとか見つけました。
ドアをガラガラっと開けると、壁に張り巡らされた有名人のサイン。昔のままです。
お店のおばさん「何にします?」
友人「お勧めは何ですか?」
お店のおばさん「うちはね、豚足」
お店のおばさんの少々ぶっきらぼうな感じも変わりません。ちょっと嬉しくなりました。
果たして味は......昔と比べて違いがあるのかはわかりませんでした。もう少しネギの量が多かったような気がしますが。
失礼ながら、快適さとおいしさを求めるなら他のお店に行くかもしれません。
でも、私はまた中華街に来たらこのお店に来るでしょう。
なぜなら、知り合いのおばさんの所に寄ってご飯を食べた、というような温かな気持ちになれるからです。
料理について、もうひと話。
私は中国に留学中、中国人だけでなく、いろんな国の人と交流がありました。
アメリカ、インド、韓国、フィンランド、ネパール......。
学生時代は留学生用の寮に住んでいました。そこは台所が共同だったので、毎日ご飯どきになると、コンロが込み合います。世間話をしながら、材料を切ったり煮たり、炒めたり。そして、それぞれの国のご飯ができあがっていきます。その料理何?と聞いたり、そんな調味料入れるんだ!という国の違いを発見したり、日本人同士でも、各家庭のレシピや味付けを学んだりしました。
ときには、隣のコンロで謎の料理ができあがっていることも......。
たくさん作り過ぎてしまったときは、台所に置いた鍋のフタに「ご自由にお食べください」と張り紙をしておけば、誰かが食べてくれます(書かなくても勝手に減ることはありましたが......)。
クリスマスなどの大イベントには、それぞれの国の料理を持ち寄って皆で食べました。
友人たちが作り出す料理は、よく見かける料理もありましたが、レストランのものとは少し違う味でした。もちろん料理が下手な人もいれば上手な人もいたのかもしれませんが、おいしい、まずい、ということではない味の領域が、そこにはありました。
それは、きっとそれぞれの「家庭の味」なのだろうと思います。
ところで、日本代表として何を持っていくか悩むことがありました。
日本イメージの料理って、お寿司やうどん、てんぷらといったところですが、どれも作るのはちょっと......。
学生同士のパーティで出すのに適した料理は、たくさん作りやすくて、安くあがりで、時間が経ってもおいしいもの。かつ、異文化の人にも受け入れられるもの。
おにぎりは、パーティには便利でいいけれど、国によっては、お葬式に出す料理だったり。
ちらし寿司は、「ご飯が酸っぱいなんて腐ってる!」と言い出す人もいたり。
カレーは、インドの人とかぶるしなぁ。
私がよく作ったのは、鳥肉の肉じゃがやシチューでした(牛肉はダメな国の人が多かったので)。
それは日本料理なのか?と聞かれると「?」。
多国籍の大人数にあう日本料理メニューって、案外思いつかないものです。
よいレシピがあったらぜひ教えてください。
にぎわう中華街 | 目当ての麺 |
中華街のインド喫茶。チャイがおいしい。 | 弊社ナビゲートがある日吉にネパール料理屋がオープン。 甘味のあるナンが絶妙! |