フランス旅行記 王様の寝室
その昔、ヴェルサイユ宮殿に訪れた貴族たちがそうしたように、私はまず待合室に通されました。 貴族たちはここで乗ってきた籠を降りて、連れてきた召使いと共に謁見の時間を待ったのでしょうか。
その部屋には大きな絵が2枚ありました。
奥に入っていくと、次第に部屋は薄暗くなり、そして豪華になっていくような気がしました。
壁や柱には模様や凝った彫刻が施され、カーテンやシャンデリア、そしてさまざまな美しい家具が置かれています。
私はオーディオの説明をフンフンと聞きながら、小部屋をいくつも見て回りました。
しばらくして小さならせん階段を上ると、突然そこに現れたのは「鏡の回廊」でした。
右手からは朝の光が差し込み、左手には大きな鏡が並んでいます。鏡の効果で廊下全体を光が包んでいます。
まだ朝早いので、廊下には誰もいませんでした。
長い廊下は静かで、その豪華ささえもひっそりと息をのんでいるかのようです。
かつて、映画に出てくるような騎士がこの廊下をさっそうと歩いていたのかもしれません。
コルセットをギュッと巻き、羽のついた帽子をかぶった貴婦人たちもこの廊下を通ったのでしょうか。
当時とても貴重だった鏡に向かい、さぞかし自分の姿に見入ったことでしょう。
次に行ったCコースには王の寝室があります。
英語のガイドさんに連れられて、部屋を回っていきます。
王様の部屋は、隅々まで豪華に飾られ、歴史的に価値のある地球儀や仕掛け時計などもありました。
印象的だったのは、意外に小さかった王のベットです。しかし想像どおり、周りにはふわっとカーテンがかかっていました。
季節ごとにすべての装飾を変えるというこの豪華なベットで、王はどんな夢を見ていたのでしょうか。
ベットルームというのは、当時大きな意味を持っていたそうです。
王にとって、プライベートルームであり、また公の場でもありました。
朝、王が目覚めるには、係の者が王を呼びに来るまで待たなければなりません。 そして身支度を終えるといろんな人があいさつに来ます。1つの儀式です。
歴代には、寝室という名の仕事部屋で寝るのを嫌い、本当の寝室は別にしたという王もいたようです。
王がベットに入ったまま仕事......??何となく不自然な気がします。
しかし、王の寝室という本来プライベートな場所で行うことによって、その仕事に特別な意味が生まれるのでしょう。
確かに素晴らしい部屋......。
しかし、王様は本当にこんな豪華な部屋が好きだったのでしょうか?
美しいヴェルサイユ宮殿の祭壇 | どの部屋もこのように立派な装飾が施されています。 | |
らせん階段を上るとそこは「鏡の間」 |