フランス旅行記 パリ、さまざまな場所で
9月22日夜。
私はパリにいるもう1人の友人の家に宿を移しました。
「カルチェ・ラタン(ラテン地区)」と呼ばれる、パリ大学が多くある地区に友人は住んでいます。
夜8時15分、私はアパルトマンに着き「26」と書かれたボタンを押しました。インターホンのスピーカーから懐かしい声が聞こえ、1階ドアのロックがはずれます。奥に進んで、段差の低いらせん階段を慎重に踏みながら5階まで上がると、そこでは友人がドアを開けて私を迎え入れてくれました。
パリに来て4年目になる彼女の部屋は、私が小学校から慣れ親しんだ彼女の実家と同様、思わずくつろいでしまう空気が流れています。
私が今パリに旅行で来ていることを忘れてしまう空間でした。
友人は粉にシナモンを入れ、エスプレッソを入れてくれました。はちみつとジャム、ラム酒が仕上げに入ります。実はこのコーヒーがパリ滞在中に飲んだ中で一番おいしいコーヒーでした。
私たちは久々の再会で、コーヒーを囲んで夜遅くまで話していました。
次の日は9時過ぎに部屋を出ました。
まず友人の居留手続のため近くの役所へ行き、その足でリュクサンブール公園まで歩いていきました。
そこではちょうど映画の撮影が行われていて、中世時代の衣装をまとった役者たちが「スタート」のかけ声で何かセリフを言っています。
カメラの中の世界は、中世の時代が描き出されているのでしょう。
しかし、その外にいる私も、十分それを味わっています。
私がパリに来てから感じている何か違和感にも似た感覚は、パリという街があまりにも美しく、まるで中世の舞台セットの中にいるような気分になるからかもしれません。
さて、リュクサンブールから地下鉄でシテ島に行き、サント・シャペル教会へ行きました。ここもノートルダム寺院と同様、ステンドグラスが有名です。
2階の祭壇を取り囲むように、四面の壁がステンドグラスで作られています。窓というよりは絵本のようで、聖書の物語を描き出しているそうです。ステンドグラスが色とりどりに細かく分散し、聖書を美しく飾り立てています。
そのうっとりとした気分をすっかり暗くしたのは、次に行ったコンシェルジュリーです。
ここは、マリー・アントワネットがギロチンに掛けられる前に2カ月半収容されていた場所です。建物の中にいるだけで薄く暗く、重々しい気分になりました。