迎春北京でのお正月
2004年になりました。
三が日も過ぎ、いつまでもお正月気分に浸っていてはいけないと自分で尻をたたいています。
お正月といっても、中国では「新しい年になっておめでたい」だけです。日本で見られる「年末までに?、新年からは?」という、1つの大きな区切りとしての重さを感じることはありません。
中国ではこの時期は冬休みではないので帰国するわけにもいかず、北京で年を越します。それも今年で5年目になりました。初めは、それもまたおもしろいと思っていましたが、次第に日本でのお正月料理が恋しくなります。実家できちんとお節料理をつくっていたわけでもないのですが、欠かせないものもいくつかあります。
まずは、母の得意な黒豆。これはお世話になった方に配り歩くので、大鍋で2回程つくります。弱火でトロトロと時間をかけて煮た丹波の大きな黒豆は、皴が寄ることなく仕上がります。つやつやとして美しい日本の「黒」を物語ります。爪楊枝で、1つずつ丁寧にいただいてもいいし、3つ4つ5つと串団子のようにしてパクリといただくのもいい。その煮汁もまたおいしくて、ついついたくさん食べてしまいます。
それと、がめ煮。いわゆる筑前煮です。いろんな具の味がダシに染みていい味を出します。
あとは、母がつくるのは面倒と言うので私がつくることが多い栗きんとん、田づくり、だて巻、飾り蒲鉾、慈姑(クワイ)の煮物など。また、昆布巻き(これは母にお願いするしかない)もお正月にぜひ食べたい一品です。それから、お雑煮やぜんざいなど、お餅料理も欠かせません。
なんだかんだといろいろなおかずが集まるのが、やはりお正月です。
しかし、北京だとそうもいきません。それでもなんとかお正月気分を味わいたいと思い、いくつかはつくることにしています。
問題は、材料が手に入りにくいことです。
例えば、ハンペンや蒲鉾、昆布、ニシン、小魚、ごぼう、コンニャク、慈姑、黒豆、餅などは、まず手に入りません。
このため、だて巻や飾り蒲鉾、こぶ巻きや田作り、筑前煮、煮豆はあきらめなくてはなりません。
日本料理ですから、中国から渡来した食材(ゴボウや慈姑)も多いのですが、薬用として使われていても食用としてスーパーに出回っていないものもあります。それと、日本が改良したものもあるので、同じ物を手に入れるのは難しいです。
日本の系列のスーパーに行けば買える食材もありますが、価格は日本の3倍近くします。貧乏学生としてはそう贅沢はできないので、せっかく見つけた食材を前にして泣きながら立ち去ります。
今年は、是非ともお正月を満喫したいと思い、大みそかには「紅白歌合戦」が見られるところ(住んでいる寮はBSがないので日本の番組は見られません)まで出かけ、元旦にはあるホテルで行った餅つき大会に参加しました。味つけには、きな粉、あんこ、おろし大根、納豆が置いてありました。普段食べられない納豆を大盛りにして、3つほどつきたてのお餅をいただき、新年を祝いました。
気分も新たに、2004年を迎えます。
お餅のように粘り強く、夢を膨らませて(焼き過ぎて破裂しないように)、頑張る年にします。