牛丼の味
私の今夜のメニューは「牛丼」でした。
おや?!と思われる方も多いはずです。
日本ではBSE問題で輸入がストップしてから、牛丼屋から牛丼のメニューが消え、大きく記事になりました。
そんな中、素知らぬ顔して、あの大手牛丼チェーン店で牛丼を食べることができるのはin 中国だからです。
北京ではその大手牛丼店がたくさんの店舗を出しています。
中国政府は去年の12月にアメリカからの牛肉および牛を原材料とするものの輸入を禁止しました。
中国の1人あたりの年間平均牛肉消費量は5.25kgですが、中国国内での生産量も少なくありません。
2002年度の牛肉年間生産量は569万トン、世界牛肉生産量の9.33%を占め、世界で3位です。
牛肉の輸入は必然性からではなく味や食感が好まれるからのようです。
そのため、アメリカからの牛肉の輸入が禁止されても大きな打撃はありませんでした。高級ホテル内のレストランや"味"にこだわる店以外は、アメリカ産 より価格が1/10安い中国国産牛を扱うレストランが多いからでしょう。
さて、その大手牛丼チェーン店ですが、日本では消えた牛丼のメニューはいまだ健在です。
しかし、中国店舗では中国国産牛を使っているのか定かではないし、牛丼を前に「ああこれで、脳みそがトロトロになってしまうかもしれない」と思うと、 「いただきます」ではなく「無事でありますように」と合掌します。
過剰に怖がることもないと思いながらも、それを口に運んでしまうのは、単に牛丼が好きだからではありません。
実は、その牛丼店の牛丼は日本では一度しか食べたことがありませんでした。 しかし、北京に来てからはときどき食べています。本当の意味で日本食とは言えなくても、外国で見たら"日本の味"というカテゴリーの入る"牛丼"は、私に とって日本を思い起こさせてくれる"ありがたい"食べ物だからです。
牛丼メニューがなくなる日は、行列ができたという記事を読みました。
もし北京で牛丼が消えると聞いたら、私も最終日に食べにいくでしょう。
それは"日本の味"という汁がしみ出す、"ぎゅう丼"なのです。