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フランス旅行記 あとがき


[ち] 旅行・海外生活

パリ旅行は本当に素晴らしい思い出になりました。
たくさんの思い出が胸に収まっていて、それはまるで和音のように同時に飛び出します。だからかえって、ありがちな表現しかできません。


「西洋なんか興味はない」そう思っていました。
私は中国の芸術に魅かれて北京に来ました。そしてもう5年目になります。欧米にかなり影響されている日本とはまた違い、東洋的文化がしっかり生きている中国はとても好きです。
例えば、医学はその代表です。西洋医学では表だった病状に対して処方しますが、東洋(ここでは中国のこと)ではその原因となるものに注目します。だから体が弱って下痢になった場合、下痢止めが処方されるとは限りません。
そういう、西洋とはまったく違う考えから生まれてくる風習や生活様式に魅かれたせいか、中国のみならず、アジアを好む傾向にありました。実際には中国以外のアジアの国へ行ったことはありません。でも、どこか外国へ行くならアジアの国へ行きたいとずっと思っていました。


しかし、数年前からふとパリへ行きたいと思い始めました。
きっかけは、学校の授業だったかもしれません。中国美術も西洋の影響をだいぶ受けている部分もありますし、美術の学校にいる以上、欧米の美術が目に入ってこないということはありません。
それまであまり気に留めなかったヨーロッパの美術を改めて見たとき、アジアとは違う「素晴らしさ」を素直に感じました。そして、急にヨーロッパを見たいと思いました。

私がこれまで行ったことがあるヨーロッパはパリだけです。だから具体的に「ルーブル美術館」へ行きたいと思ったような気がします。
アジアンになった私の脳にひと風吹かせたい、心のどこかにそんな思いがあったのでしょうか?

なんだかへんてこな理由ながらも「パリへ行く!」という決断をした私ですが、決して観光がしたいと思ったわけではありませんでした。
北京に長く暮らしていて一番楽しいことは、日々の生活の中にあります。
街の風景や、雑談する人々、スーパーに置いてある品物.........、そんな日本とのちょっとした違いを発見したいと思っていました。観光というのではなく、パリという街の生活を味わってみたかったのです。
友人達のおかげで多めに滞在できたこともあって、はじめの数日はほとんど観光客らしくありませんでした。友人と別れて1人になったあとは、ベンチに座って3時間くらい街を見ていたり、うとうとしたり、ぶらぶらしたり、街をひたすら歩いたりしました。
歩いているうちに見つけた教会には、まず入ってみて一休みしました。ガイドブックに載っていない小さな教会も素敵なステンドグラスがあったり美しい装飾があったりで楽しめます。
いろんな公園や広場では、のびのびとした人の様子を見ました。ベンチや芝生の上で、思い思いのことをしながら休んだり話したりしています。カフェなどでも皆時間を気にする様子もなく、ゆっくりと過ごしています。(昼間の時間帯に、仕事をしているはずの年齢の人が、なぜこんなにたくさん街に溢れているのかは謎でしたが......。)
食事も、生ハム(イタリアが近いのでたくさん種類もあって、とても安いのです)やパンとお総菜などをスーパーで買ってきて食べることも何度かありました。日本とも北京とも違う食材にいちいち感嘆して、買い物がとても楽しかったです。


9月の中旬、出国しなければいけないとわかったとき、どうすればいいのかと真剣に悩みました。自分のあまりにも浅はかな料簡に落ち込みもしました。しかし、そのおかげで「パリ旅行」という大きな決断ができたことも確かです。

パリは本当に美しい街でした。そして、パリの思い出はビザの失敗などう吹き飛ばすほど貴重なものでした。
また、この経験は、これからの私にずっと影響し続けることでしょう。
私の体の中で、パリの思い出という和音が、協和音になったり不協和音になったりしながら、ずっと鳴り響いています。

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