ただただ、カマキリのこと
去年の10月下旬、玄関横の外壁にカマキリが卵を産みつけました。
ちょうど目の高さの位置にあり、わが家を訪れる人はみな一瞬ひるんでしまいますが、せっかくの命なのでふ化を見届けることにしました。
5月も末、そろそろ7か月も経つのに一向に動きがありません。さすがにもう死んでいるのだろうと思って引き剥がそうと試みたのですが、ことのほか頑丈で取れませんでした。
すると状況を察知して焦ったのか、翌朝いっせいにゾロゾロとふ化!その数100匹以上はいたようです。
それから毎朝、観察が始まりました。
赤ん坊ながらも、尾尻をキュッとあげ脇をしめて威嚇するポーズは、実にキュートで見ほれます。
しかし、あれだけたくさん生まれたのに、翌日くまなく探して確認できたのは6匹だけ。
ネットで調べると、生まれてすぐに共食いで半数ほどが減り、さらに蟻などに捕食されて全滅することもあるそうです。効率悪すぎて切ない......。
種の保存という観点からは、いささか戦略性に欠けるようにも思うのですが、自然界においてはバランスがとれているということなのでしょう。
ふ化3日目は4匹に、
そのまた翌日は3匹に、そして現在この3匹がしぶとく生きています。
毎日見ていると、姿形は同じでも持って生まれた気質に違いがあることがわかります。
概ね定位置を保って暮らしており、玄関に近いほうから1号、2号、3号と呼んでいるのですが、
1号は大物派。めったなことでは逃げません。写真の被写体になるのはもっぱらこの1号です。
2号は慎重派。1号よりも用心深く、人影が近づくといったん葉裏に隠れてじっと様子をうかがいます。
3号は過敏派。警戒心のかたまりで、なおかつ俊敏です。自分以外は信じないタイプ。他の2匹があまり動かないのに対し、すばやく動いて一気に壁をよじ登り、どこまでも逃げていきます。そして一度人に見つかると2〜3日は姿を現しません。
またまたー、という声が聞こえてきそうですが、決して大げさに言ってませんよ。ほんとですって。
かくいう私はオタクで凝り性タイプ。一応隣人(?)に関する情報はネットであらかたチェックします。結果、ハラビロカマキリという種であること、そしてその生存率は2〜3%で、その生涯は波乱に満ちたものであることも知りました。
庭の3匹は選ばれし者たちなのです。そしてこれからも過酷な運命が待ち受けているのです。今生きていること自体が奇跡なのだと思うと、畏敬の念すら覚えます。
どうぞ彼らが無事に生涯をまっとうしてくれますように。
生存は3匹といいましたが、実はここ2週間ほどは1号と2号しか見かけていません。しかし警戒心の強い3号のこと、きっとどこかで生きているはずと信じて「3匹」ということにしておきます。
そんなカマキリ達の写真をご紹介します。虫が苦手な方、すみません。ご注意ください。
5/24:ぞろぞろとふ化してます | 5/25:残念ながら、この2匹はヤモリの餌食に......。 |
5/26:シマ蚊そっくりな1号。1cm満たない。 | 6/7:脱皮し2齢幼虫になった1号。カメラ目線 |
6/12:霧吹きでかけた水を飲む1号。2cm弱か | 6/16:台風を過ぎて無事を確認! 空を見上げる1号 |
6/21:たぶん三度目の脱皮に成功! 大きくなった | 6/21:まるでもう1匹いるような立派な抜け殻 |
6/21:せっかくなので、抜け殻だけアップ。 | 6/22:貫録が出てきた1号。思い切りにらんでます |