憧れのクラリネット
最近購入したものの中にクラリネットがあります。
といっても私が使うというより、4月から吹奏楽部に入部した娘用ではありますが(娘の中学ではクラリネット担当は購入が必須)、実は私がクラリネットを購入するまでには30数年かかりました!
私が中学生の時、娘と同様、吹奏楽部でクラリネットを吹いていました。
当時、私の中学では楽器は基本的に学校から貸与され、個人で購入するのは将来音楽の道に進みたいと考えているような特別な人だけ、クラリネットメンバー7?8名の中で購入したのはたった1人でした。みんなは学校の楽器で満足していたようですが、私はどうしても欲しくて親に何度も購入してほしいと訴えました。楽器の値段はピンからキリまであり、そこそこのレベルの物を買うにはけっこうな出費となります。(欲しかったのは確か20万くらい)
まだ中学生になったばかり、自分の小遣いやお年玉で貯めてきたわずかな貯金など、思い当たる資金をかき集めても手に届くはずもなく......。
なんとか親の援助を受けたかったのですが、親としては「いつまで続くかわからないような楽器に大金をかけるわけにはいかない!」と大反対です。頑固な私は諦めきれず、親との「買って!」「絶対ダメ!」という争いが続きました。争いが長すぎて、親も私も意地になりすでに意見を曲げれなかったのかもしれません。
田舎の中学生でお金を稼ぐ手段といっても、新聞配達、牛乳配達くらいしか浮かびませんが、早朝から毎日働くといった勇気もなく。
そこで思いついたのは、家の手伝いで報酬を得ることです!
実家は昔ながらの田舎造りの農家で、大きいだけがとりえ。普段は使っていない場所も多く、そういった部分は掃除が行き届かずすぐに埃がたまり、汚れていきます。そこで、客間ぐるりと取り囲む中廊下という部分を毎日ダスキンで掃除することで交渉が成立。確か1日30円で1カ月900円程度、1年でも1万円少々にしかなりませんが、それでも希望の光が少し見え、いつか自分で購入したいという思いは大きく膨らむばかりでした。
しかし、3年間続けたクラリネットも、高校ではバトミントン部に入部してしまい、あっさりと活動終了!
親からすれば「やはり!あのとき買わなくてよかったでしょ」と、それみたことかの気持ちだったと思います。私の意地で毎日掃除された廊下がピカピカになったことが、せめてもの救いでしょうか......。
そんな思い出から長い年月を経てしまいましたが、娘には、中学に入学する前から、私の吹奏楽部やクラリネットの思い出話や長所を話しながら洗脳し、彼女は無事にクラリネット担当に!
このたび、「娘のため」という大義名分を持ってようやく購入することができました。
実は、私が想定していた物より数段上のモデルを購入することになり、そこが誤算ではありましたが、私が中学の時は手の届かなかった切ない思いや、家族の大事な大金をクラリネットに充てるという事実を、彼女の目の前で支払うことで実感させ、娘の気持ちも「ただ買ってもらった」よりは気持ちが引き締まったようです(本人弁)。
やっと手に入れることができた憧れの「クラリネット」。
残念ながら30数年のブランクは相当なもので、この春始めたばかりの娘のほうがすでにいい音を出すという切ない状態ですが、当時の気持ちを噛み締めながら少しずつ練習を重ねたいと思います。
久しぶりのクラリネット! 技術はこれから磨く予定......。 |
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