炎天下の防災訓練
先月、町内の組長が集まって防災訓練がありました。今回のメインイベントは炊き出しとAEDです。
出席者は50人程度。まずは10人ずつ1グループになり、それぞれが公園に即席で大釜を設置。薪と新聞紙に火をつけてお米を炊きます。その日は7月としては最高気温の真夏日でした。座る場所も日陰もなく、炎天下にぐつぐつと燃えたぎる5つの釜。暑さにくらみ煙にむせながら、釜戸の火を見守ります。
これでは炊き上がる前に卒倒しそう......。出席者には年配の方が多かったのでとても心配です。
しかしそんな心配は無用のようでした。我がチームを陣頭指揮するのは御歳85歳の大奥様。
「火はまだ早い!。少し待たないと固くなって食べられたもんじゃないよ!」「はじめちょろちょろ中パッパ!」「薪をもっとくべて!」「新聞紙はもういらない!」。腰は曲がっているものの、炎天下に釜を見つめる眼光は鋭く、扇子を片手に次々と指示を出します。
さすがに昭和を生き抜いてきた人は基礎が違うなぁ、とつくづく感心。こっちのほうが先にダウンしそうです。
さて炊き上がるのを待つ間、おばあさんたちに火の番を任せて(...いいのか?)、新米の組長たちは屋内でAEDの講習に。
AEDの使い方については、実は5~6年前に一度講習を受けたことがあったのですが、さすがに忘れていることが多く、心臓マッサージのタイミングや力加減などもあやふやです。こういう講習には定期的に出るべきだ、と改めて思いました。
前回講習を受けた時はやや腰が引け気味だった私も、今回はかなり前のめりです。実習にも積極的に挙手、エアコンのない部屋で汗だくになって心臓マッサージを行い、タイミングを忘れないためにビデオまでとって、我ながら真面目な生徒ぶりです。
しかし、東日本大震災を境に防災への意識が大きく変わったのは私だけではないようで、その場の誰もが積極的でした。「いつ何が起こってもおかしくないから」誰かが言ったその言葉に、周りの人たちが大きくうなずきます。
予測不能な未来のことに対して、いたずらに不安がるのも精神衛生上よろしくないと思いますが、不安は漠然としたままにしておくから不安なのでしょう。不安に思うことを具体的に切り出して、1つひとつ備えておくことで安心に変わるのだろうと思います。
とりあえずこの暑い日、AEDと炊き出しはマスター。1つ安心が増えました。
防災訓練が終わり、炊き上がったご飯で作ったおにぎりが配られましたが、85歳のリーダー指導のもとに作られた我がチームのおにぎりが、さすがに一番美味しかった気がしました。いつまでも気力そのままに、お元気でいていただきたいものです。
AEDを使う必要がないことが一番ですからね。
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