EARTH DAY TOKYO 2010 悩ましい編
4月17日(土)から18日(日)にかけて、代々木公園・けやき通りでアースデイ東京のメインイベントが開催されました。一緒に行こうと思っていた相手が来られなくなったため、少々不安を感じつつ、18日の夕方に1人で行ってきました。
結論からいうと楽しかったのですが、到着してからしばらくはなかなか思うようにいかず、代々木公園内で道に迷ったり、あやしいラテン系の男性に歌いながら後ろをついてこられたり、さらに本会場にたどり着いたときには「もう販売時間終了です?」というかけ声が......。そこから焦ってお店を回りはじめたため、慌ただしい楽しみ方になってしまいました。
アースデイで見たこと考えたことを、数回に分けて書いてみたいと思います。
<アースデイキッチン>
まずは楽しみにしていたアースデイキッチン。「販売時間終了」の声に脅かされ、そばにあった列にとりあえず並びました。
「無添加ソーセージ、ベーコン、ハムの盛り合わせ ¥700」
まあいいか、何も食べられないよりは......。と思ったのですが、いざお皿を受け取ると私の手のひらより大きくて厚いソーセージが4枚。しかも盛り合わせではなく、ソーセージ1種類だけ。おそらくベーコンやハムは完売し、残ったソーセージだけを盛っているのでしょう。しかしこの量、食べきれるのだろうか......。
いつもなら「それじゃあ家に持って帰って明日食べよう」と対応するのですが、しかし、ここはアースデイ。お皿は持ち帰り禁止で、ラップとかビニール袋を頼める雰囲気ではありません。「持ち帰りできます」と書いてあるものすら、むき出しで渡されたりします。みんなはお弁当箱やタッパーを持参しているのでしょう。
そんな調子ですから、ましてや、食べ物を残すなんて論外です。会場の反対側には、発展途上国の人々の写真パネルが並んでいるのです。
必死にソーセージをかじりつつ会場を回っていると、ビールを手にした女の子が「それどこで売ってるんですか?」と聞いてきました。チャンス!
「私こんなにあると思わなくて、多すぎて食べられないからあげますよ」
「いやー悪いからいいです」
「ほんとに、残すのもアレなんで、もらってもらえると助かります」
「ええーどうしよー」
女の子はいったん友だちのところに行き、「くれるって言うんだけど」などと相談し、戻ってきて「じゃあスイマセン」と言って1枚もらってくれました。本当は友だち用にもう1枚受け取ってほしかったのですが、ちょっと気持ち悪がられている感じがしたので深追いしませんでした。
これで残りはどうにか食べられそうだし、食べ物をシェアするとはじつにアースデイ的な楽しみ方だなと少しテンションが戻ってきました。
しかし3枚続けてソーセージを食べていると、野菜がほしくなります。
会場にちょうど「ベジタリアンになって地球を守ろう」というコンセプトのお店がありました。料理には大豆や雑穀を使い、お肉を一切使っていないとのこと。よしよし。ここで野菜まんじゅうをゲットしました(300)。
どこかでゆっくり食べようと思い、片手に野菜まんじゅう、片手にソーセージのお皿を持ってうろうろと会場内を探しました。やっと見つけたベンチに座ろうとしたとたん、バランスを崩した野菜まんじゅうが袋からポロリ。
ぶはー!
アスファルトに落ちた野菜まんじゅうを慌てて拾い上げ、その手でゴミをはたきました。肉まんのようなやわらかい生地に砂粒が食い込んでいます。さわるとほかほか。これは無事に拾い上げてしまった以上、アイスを落とした子供よりも深刻な状況です。食べられないわけではないのです。
私は悩みました。今日はアースデイ。
「発展途上国だったら絶対みんな食べるよ」
「食べ物はもともと地面から出てくるんだから平気だよ」
「大地にキスするのと一緒だよ」といった妙な思考が頭の中をグルグルと回ります。そうした声なき声に屈服して「......もう気にせず食べちゃおうかな」と思う反面、これで本当に食べたとしたら家族や友人に「何やってんの?」と言われるであろうことも感じていました。
自分、しっかりしろ......。
しばし目をつぶって、最善の策を考えました。
私の答えは、着地しなかった面と中身を食べて、着地した面を残すこと。
さすがに全部残すのは心苦しいし、全部食べるのは危険を感じます。
できればゆっくり味わって食べたかったのですが、状況が状況だけに「可食部をムシャムシャ食べる」という余裕のない食べ方になってしまいました。
野菜まんじゅうの合間にソーセージもかじっていたのですが、ここには矛盾があります。ソーセージを付け合わせてしまったら、お肉を使わないために工夫された野菜まんじゅうの意図が骨抜きになってしまう。
空を見つつ、なんともいえない胸苦しい思いを味わいました。
食器返却カウンターでは、自分が使った食器をアルコールで拭いて返却します。
野菜まんじゅうの皮を差し出して「これ落としちゃったんです......」と言ったら、担当のおじさんがやさしくニコッと笑って、「ここに入れてください」と指示してくれました。堂々と「食べ残しはこちら」と書いてある。そして、食べ残しを入れていく人も案外います。
ソーセージを買った時点で、最初から無理せずこの道を選択していれば、こんなに頭がグルグルすることはなかったでしょう。しかし食べ残し不可の重圧を味わったからこそ、アースデイの芯のようなものに触れられたような気がします。(つづく)
http://www.earthday-tokyo.org/
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