いつもと違う場所
「休みの日は何をしているの?」
今までに人から何度となくきかれました。その度に私は「休んでいます。」と答えてきました。
そんな休日のある朝、カーテンをあけてびっくり。窓からみえる景色が紅葉で真っ赤に染まっていたのです。
今いる部屋は、バス通りよりちょっと坂を上がった小高い丘にあり、窓からは、高校のサッカーグランドを見下ろせます。 グランドの周りは遊歩道にもなっていて、たくさんの木に囲まれ、春には桜が咲き乱れます。
そんな木々たちがいつの間に赤く色づいたのか、毎日みているはずの風景なのに気づかなかった、そんな自分にショックを受けました。
考えてみると、家と会社の往復さえもいつも決まった道を通っています。日常に慣れてしまってずいぶん視界が狭められていたようです。
ふと、机の上を見ると伯母からきた「工芸の継承と展開」という展覧会の案内状がおきっぱなしになっていました。
それは、池袋にあるデパートの催し物会場で、陶芸・木工・ガラス・染織などの作品の展覧会があるというものでした。
伯母は染織をしており年に何回か作品を出展する機会があるようです。(下の写真は春のものです)
私自身はあまり得意分野ではないので、「どうせ見てもわからないだろうな」と決めつけていたのです。
でも、今朝見た真っ赤な風景に後押しされ、いつもは重い腰も持ち上がりました。さっそく電車を乗り継いで、池袋駅へと向かいました。
会場にはライトアップされた中に60余名の方々の作品が展示されていました。
陶器やガラスの器、染織された着物など様々な形や色の作品を目にし、心も華やぎました。
しばし芸術に浸ろうと思ったのですが、思い浮かぶのは、このお皿は実際に使うモノなのか?それとも飾るものなのか?ずいぶん高価なものなんだなぁ、などと、俗なことばかりです。
でも、普段と少し違った空間が、日頃の関心の枠をちょっぴり越えさせてくれました。
時間に追われがちな毎日の中で、ほんの少しの興味と意思がプラスされると行動に変化がおきる気がします。足を運ぶその先は、自然の中であったり、雑踏の中だったり、どこでもいいのかもしれません。
いろんな催し物の多いこの季節。たまには、いつもと違う場所に自分をおいてみるのもいいのかな。