金沢文庫を訪ねて
ふと、古典などの名著を読んでみようと思い、兼好法師の「徒然草」を手に取ってみました。昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響で、鎌倉時代に興味を持ったことも一つのきっかけになったかもしれません。
学生時代、「つれづれなるままに……」の序文は聞いたことがあるものの、どういう内容が書かれているのかはまったくわかっていませんでした。
原文だけでは難しいので、現代語代訳や解説が添えられているものを読んでみると、だんだん兼好法師の人柄や人生観が見えてきました。
大河ドラマで描かれていた時代よりももっと後の鎌倉時代末期。
兼好法師が48才頃に、書きためていた244の散文をひとつにまとめたものだということがわかりました。
一見穏やかに、時にユーモアに富んだエピソードが綴られていますが、鋭い洞察やはかなさも感じられ、共感することが多々ありました。
また、本書の中でたびたび登場している「金沢文庫」。
兼好法師は、若かりしころ金沢文庫周辺に住んでいたようで、ゆかりの地だそうです。
実は、私にとっても金沢文庫は地元近くで馴染みのある町。
約700年前に兼好法師がこの地で生きていたのだと思うだけで、親近感が湧いてきます。
そして先日、称名寺に隣接している「金沢文庫」に初めて訪ねてみました。
この金沢文庫は、金沢北条氏(鎌倉幕府2代執権・北条義時の孫・実時に始まる北条氏一族)が集めた蔵書をおさめるための書庫が始まりのようです。
その日は、特別展「旅する、大蔵経」が開催中で、称名寺とゆかりのある仏典や仏教史について学ぶことができました。タイミングよくボランティアのガイドさんの解説を伺うことができたのもありがたかったです。
私にとって見慣れた駅や町でしかなかった金沢文庫が、たまたま読んだ徒然草をきっかけに歴史に触れ今までと見方が変わることになるとは、思ってもみませんでした。
これからもゆるりと歴史や名著を楽しんでいきたいと思います。
■神奈川県立金沢文庫
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/kanazawabunko/kanazawa.htm
兼好法師も足を運んだと言われる称名寺 | 称名寺に隣接する金沢文庫の入り口 |
「徒然草」角川ソフィア文庫より | 金沢文庫の特別展のチラシ |