選ばれしもの
最近、読書にはまっています。
きっかけは、たまたま立ち寄った本屋で見つけた芥川賞受賞の作品でした。読書は小さいころから好きなのですが、読みだすと止められず、寝るのを惜しんで読みふけってしまう性分なので、最近は避けていました。しかし、その文庫本は手にしてみると1センチほどで、すぐに読み終えることができそうだったので購入しました。期待に違わず2日間で読み終えたのですが、少し毒のある作品だったので、毒抜きに何か......と思い、また本屋に行き1冊、そしてまた1冊と続けることとなりました。一度読み始めると、本のない生活は、携帯電話を忘れた時のような手持ちぶさたな気分になるから不思議です。
本を選ぶこともまた楽しみの一つです。話題コース(新刊などが置いてあるコーナーから見て回る)と巨匠コース(巨匠と呼ばれている作家作品から見て回る)と勝手に考えたコース別に、あちこち行き、タイトルや装訂に魅かれたら手に取って背表紙の解説を読みます。もし気に入れば「また戻ってくるね」といって返します。他の場所へ行ったら、きっともっと読みたい本がでてくるに違いないからです。私は週に2?3冊読むのが限界です。欲張って買ってしまうと、次週は本を買う必要がなくなってしまいます。なので、どうしても欲しくなったときだけそのまま持ち歩くことにしています。
このように、自分は本を選んでいるつもりでいますが、最近、実は本から選ばれているのかもしれないと思うようになりました。
半年前、読みたいと思った本が書店で見つからないことがありました。店員さんに頼んで探してもらうほどでもないし......と思い、数カ月にわたりいろいろな本屋で探しましたが無く、そのままになっていました。そしてつい数日前、別の本を探していた時のこと。その本は近所の本屋では見つからず、大きな書店に行ったついでにまた探していました。何度もぐるぐる回って探しましたが見つからず「これは縁がないわ」と思って、すでに選んでいたものだけ購入して書店を出ました。その後、待ち合わせをしていた親も本を買いたいというので、再び同じ本屋へ行くことに。もう2冊買ってしまったし、何か買おうという意思もなく、店内をぶらぶら歩いていました。ところが、ふと目を留めたところに半年前に探していた本がありました。「ああ?こんなところに!」とつぶやいて手に取り、ふと振り返えると反対側の書棚に先ほど探していた本がありました。
今日だけでも何度も探したのに無かったものが、なぜ突然手に入るのでしょうか。
その後、読んだ後にわかったことですが、先ほど探していた本の作者は夢分析を学んでいたことがあったそうです(購入した書籍の大筋とは関係のないことですが)。そして半年前から探していた本は、過去の賢人の夢について記されたものです。この両本が一緒に手に入ったという偶然に、私の意思としないところで起こる共時性のようなものを感じました。偶然といってしまえばそれまでなのですが、本も読む人とそのタイミングを選んでいるのかもしれません。
私がこれは面白そうと目に付く時、それは私がその本を読んでもいいよ、という権利を本から与えられているのかも......そう思うと、これからはもっと本との出会いを大切にしたいな、と思いました
ところで、読書熱があがったので、7月は計13冊買ってしまいました。家には急にそんなに置く場所はない......読んだ本は数年後また読み直すのも楽しいので手放せないし......幸い、ナビゲートは本好きが多いので、会社に持ってきては里子に出しています。なるべく長居してね、と心で祈りながら......。