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5Sの理論&手法 :

5Sの目的と効果

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5Sは利益を産み出すのか

要点

5Sは短期的、直接的に利益を創出できる活動ではありませんが、長期的、間接的に利益に貢献する戦略的な活動を位置づけることができます。

5Sをやると儲かるのか?
これから5Sに取り組もうとしている企業や取り組み途上にある企業にとっての一番の疑問点は、この利益貢献があるのかという点かと思われます。

結論から言ってしまうと、5Sは直接的に利益を創出できる活動ではありません。もちろん、いろいろなムダがなくなったり、効率や品質などへの好影響はありますが、それ以上に多くの工数や費用がかかってしまいます。

5Sをやっても売上や生産量が増えるわけではありません。コストの面をみても、ものを捨ててスペースが生まれたとしても賃料が削減できるわけではありませんし、ものを探すムダな時間がなくなっても人件費が減るわけではありません。少なくとも、5Sをやっている時間は一切付加価値を生んでいません。
半年とか1年といった短期間で採算を比較すると、ほとんどの場合がマイナスとなってしまうはずです。

利益の構図

それでも多くの企業が5Sを重視し、力を入れて取り組んでいる点が、5Sの最大の特徴といえます。

5Sに取り組んでいる企業には、短期間での利益は算定できなくても「やって良かった」「効果がある」と実感できる部分が少なからずあるためです。その実感を利益という側面で捉えるなら、おそらく間接的な利益、複合的な利益、長期的な利益となるのだと思います。
この点が、5Sのような基礎的な活動をさして「最も戦略的な活動」とまでいわれる所以だと思えます。表面的な利益は漠然として算定しづらいけれども、広い範囲で捉えたり、長い目でみたりすれば、確実に利益につながる活動と位置づけるべきもののようです。


さて最後に、その間接的、複合的、長期的な利益はどんなものがあるかをあげておきます。

  1. 思考、作業の中断が最小化され、他の活動の集中度やスピードがあがる。
  2. 他の改善活動が進むようになり、効果が現れやすくなる。
  3. 問題が明確になりやすく、原因も絞りやすくなり、対応が早くなる。
  4. 問題解決や施策の考案場面において、選択肢を狭める要因が減る。
  5. 職場内でのストレス要因が減り、メンバー間での連携が良くなる。
  6. 労災事故、機械トラブル、品質トラブルといったリスクを最小化にできる。
  7. 対外的な信頼度がじわじわ増していき、ブランド価値の向上につながる。

参考

5Sは、経験的にはかなりの利益貢献があると感じます。しかし、因果関係が遠く、その関連や影響をひも解くのが困難なため、測定可能な部分や実証できる部分だけ取り上げると小さなものになってしまいがちです。もちろん、細かく分析したり追跡調査を行ったりするとそれなりに効果測定も可能だとは思いますが、そのために膨大な工数を使うようだと本末転倒なような気もします。企業によっては、何かの活動をするときには「必ず費用対効果を算出しろ」というところもありますが、むしろ「信念としてやる」とくらいのほうが向いている活動かもしれません。
とはいえ、組織である以上、ある程度の効果確認は必要ですし、効果が確認できたほうが活動の活性化にもつながります。

そこでナビゲートでは、5S活動に取りかかる前から、その時点の状況や計数データを記録に残し、活動開始後も無理のない範囲でデータ取りをしていくことを推奨しています。そうしておけば、厳密な効果計算はできなくても、何らかの影響や変化を確認していく程度のことは可能となるからです。




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