時間はできるだけ多く確保できるようにし、予算は必要なものに重点的に使うようにします。初期段階はお金を使わず、手を動かし、頭を使って取り組むようにしましょう。
前の記事からの続きです。
組織は、意思決定を行う承認機関と、事務局機能を担う組織が必要となります。
意思決定が必要となる事項は、年度の方針提示や活動評価といったことのほか、研修の実施、集中活動日の確保、固定資産の除去、備品の購入など多岐にわたるため、事業所単位のトップ機関を位置づけておく必要があります。事務局は、新たに設置することもありますが、特定の部署や衛生委員会などの既存の委員会が兼ねることもあります。
実際の活動単位にする組織(活動組織)は、部署単位、部屋単位、改善サークルの単位など、実情に応じて活動しやすい単位で構成します。承認機関の配下には、実行責任と調整機能を持った推進組織を設置します。推進組織は、活動組織のリーダーと事務局が参加した委員会組織となるイメージですが、活動組織を部署単位とした場合は、課長会議などがその機能を兼ねることになります。
5Sを進める過程では、大きなラックや高機能の清掃用具を購入するなど、高額の費用が発生することがあります。
しかし、初期段階では備品購入は最小限にし、まずは費用をかけずにできることに取り組むようにします。他の費用については、既存の予算の範囲か、あるいは内容の差し替えで対応できるものが多いはずだと思います。
活動時間について、空き時間や時間外で取り組むとしているところが多いですが、可能であれば所定の時間内で一斉に行う5S時間を確保することを推奨します。
5Sの活動単位を何にするかは、一長一短のようです。職制を使えば管理監督者がリーダーとなりますので意思決定が速くなる反面、業務が優先されて5Sが後回しになることも多くなります。改善サークルを使った場合は、改善活動の時間の範囲内でやることになり、進捗状況はリーダーのリーダーシップによるところが大きくなるようです。
活動の初期段階で大きな備品購入を避けたほうがいいのは、失敗することが多いからです。たとえば「置き場所が足りない」という意見を受けて、まだ整理が進まないうちから大きなラックを購入すると、器の分だけ余分にモノを持つことになります。そのあげく使いづらいと言い出して、購入したラックが不用品になったという笑い話もあります。 ある程度活動が進んでくると、本当に何が必要で、どんなものが使いやすいかがわかってきますので、購入するのはそれからでも遅くはありません。
初期段階はお金を使わず、手を動かし、頭を使って取り組むことが肝心です。 ただし、テプラやペンキやエポキシなど、それがないと活動にならないものは購入するようにしてください。