5S活動の立ち上げ準備をしっかりやっておくことで、全員が問題意識や重要性を共有し、一人ひとりが率先して取り組んでいる状態をめざしましょう。
ここでは、全社または事業所単位で本格的に5S活動を立ち上げるためのノウハウを解説します。
概念的には、5S活動の立ち上げは組織として承認されるまでの段階と、方針が出て、現場で実際の活動を開始するまでの準備活動とに分かれます。組織としての承認は、社長や工場長などの事業所トップが「5Sをやるぞ」と言い出せば完結しているわけですが、ここでは少し広く捉えて大まかな推進体制が決まるまでとします。
また、現場で実際の活動を開始するまでというのも線引きが明確ではありませんが、ここでは5S担当者の研修や職場ごとの計画策定が終わり、全社員が一斉に整理に着手するあたりまでとします。
以上の観点から5S活動を立ち上げるための準備活動を整理すると次のようになります。
準備活動 | 内容 |
---|---|
5S活動について組織としての承認を得る | ○組織で問題意識を共有する ○5S活動の基本的な枠組みの承認を得る |
現場で開始するための準備をする | ○5S活動をスムーズに開始するための準備 ○先々で5S活動の停滞を予防するための準備 |
以降では、上記の具体的な内容について解説していきます。
ただし、前段階の「組織としての承認」とその後の「現場で開始するための準備」で、項目が重複するものが出てきますが、「組織としての承認」のところで概要を解説し、「現場で開始するための準備」のところで具体的に解説するという流れにしています。
整理や清掃など、5Sを行う個々の活動自体は難しいものではありません。
そのため「きれいにしろ」とひと声号令をかければ活動を開始することができます。
ところが、5S自体は終わりのない活動ですので、号令をかけて活動をはじめたとしても、どこかで息切れし、後戻りしてしまいます。それでもきれいな状態を維持しようとすると、トップがいつもいつも号令をかけていないといけなくなります。
それだと、トップはもっと大切なことに意識を払えなくなりますし、現場はやらされ意識がまん延してしまいます。
一人ひとりが率先して5S活動に取り組み、トップが何も言わなくてもきれいな状態を維持できるようにするためにも、立ち上げから活動開始までの準備をしっかりやっておき、全員が問題意識や重要性を共有して取り組みたいものです。