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第1章:目標による管理の基本概念

6.業績評価ツールとして再注目

更新 2002.09.01(作成 1999.10.24)

業績評価ツールとして再注目

ところが、バブル崩壊後、再び目標管理に注目が集まるようになります。
業績不振に苦しんでいた企業が、年功的に運用されてしまった職能資格制度を修正する方策や、ホワイトカラーの生産性向上の手段を模索し始めたためです。

■団塊の世代への対応

バブルが崩壊したころ、各企業では団塊の世代が40代の半ばにさしかかろうとしていました。
しかし成長が鈍化したり、省人化を進めてきた企業では、この人たちに与えるポストが足りません。そこで一方では副部長、副課長、次長、代行、代理、相当、専門職、専任職、担当職、部付、課付などなど、ポストを細分化することで何とか全員にポストを与えようとしました。また一方ではポスト以外の方法もとられました。
つまり、ポストにはつかなくてもそれに相応しい能力を保有していれば職能等級を昇格させ、それによって高く処遇しようとしたのです。
こうして何とか、中高年層のモラール低下を招くことを防止しようと工夫がなされてきました。しかしこれは、実際に狭い範囲の管理業務しか担当していなくても、高度な管理業務を行っていなくても、年功的に高い処遇を与える結果を招いたのです。

しかし、バブル崩壊とともにそれも限界となります。
このころ、1984年のプラザ合意以降続いていた円高で、日本は世界で一番賃金が高い国となり、また急激に進展してきた情報技術を活用しはじめた欧米企業に比べ、日本のホワイトカラーの生産性が極めて低いという指摘がなされていました。
バブル崩壊で体力が弱った企業にとっては、仕事と賃金の関係を改革することが急務となってきたわけです。

■保有能力から発揮能力へ

従来のように、年齢とか、どれだけ能力を保有しているかでなく、どれだけ能力を発揮し、成果をあげたかに応じて賃金を払おうという考え方が出てきます。
成果によって賃金を支払うためには、成果をきちんと評価するための方法が必要となります。
特に仕事の内容が曖昧になっていた中高年ホワイトカラー層では、まずどんな仕事を担当するのかを明確にし、その結果を厳しく評価できる手法が必要になります。

その手法として、目標管理が最適と見直されるようになってきました。
目標管理は仕事の目標を明確にし、評価できるという形式的な部分だけでなく、人間尊重の理念を持っています。この理念の部分が、中高年層の賃金を圧縮したい企業の隠れ蓑として、便利だったのかもしれません。
もちろん、それは悪意ではなく、賃金の成果配分をせざるを得ないのならできるだけみんなが納得できる方法で、という人事担当者の思いがあってのことと思われます。

こうして目標管理は、実質的に業績評価ツールとして復活を遂げます。
新聞紙上では、目標管理という言葉が毎日のように、業績賞与や年俸制などととともに見出しとなって踊るようになりました。
かつての目標管理の推進者達が否定した人事評価と連動することで、再び経営手法として脚光を浴びるようになったのは、なんとも皮肉な運命のようでもあります。

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