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制度の骨格

更新 2016.06.03(作成 2012.10.05)

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第6章 正気堂々 59.制度の骨格

「こうした要領で課題とそれを解決する制度は何かを整理してください。いつか花本さんがやりかけたことです。ここでそれをやりましょう」
藤井は状況に応じて2人をリードし、提案書の作成をコーディネートしていった。
平田は藤井の提案がよくわかった。なるほどと感心しながらレクチャーに従った。
「あー。そうなんですね。ここまでのプロセスを飛ばしてはなんにもならんかったわけですよね。さすがやね」
花本も大仰に藤井を持ち上げながら、積極的なやる気を見せた。

まず、中心となる「目標管理制度」を中心に置き、それを選択した課題を書き出した。

イメージ図1

「単純に、課題→目標管理、とするだけじゃなく、目標管理制度の簡単な解説と導入理由も入れましょう。そのほうがより理解が進むと思います」
藤井の指導で、解説が加えられた。そうすることで説得力が出てきた。
「課題は重複してもいいので、同じような要領で続きをやってください」

イメージ図1

こうして2つの柱となる制度が確定した。
課題から具体的制度、施策までの関連を図にまとめてみた。(概略図)

イメージ図1

花本と平田が、課題と対応する主要制度を関連付けてまとめると、藤井は具体的に運営の仕組みを要求してきた。
「これまでの議論で各制度のイメージが沸きますか」
「はい。それはいつも思うことですから多少変化しながらもここに持っています」と平田は胸を押えた。
「それじゃ、そのイメージを持ちながら平田さんがいつも言っている公正な人事の運営システムを描いてください。いわば各制度の結びつきです。そうすると各制度がどのように機能し、関連しながら人事コンセプトや理想とする人事が運営されるかが見えると思います。それを一旦確認しましょう」
「なるほど。わかりました」
平田は各制度の機能をイメージしながら、制度同士がどのように関連し作用し合うがいいかを花本と話し合って描いていった。

イメージ図1

これらの制度は概ね平田が日常業務として日々携わっている制度であり、常々どう在りたいかを考えていた組み合わせである。目標管理制度やコース別社員制度が入ったりして、図柄的には今まで思っていたイメージと随分変化してきたが、信念としている「正しい人事」はどこか押さえているつもりである。
この図は、さらりと見れば何の変哲もないごく当たり前の関連図であるが、見方や提案の仕方によっては一つの重大なテーゼとなる。
「資格によってレベルの目標が与えられ、その達成度によって評価する。賃金は評価によって決まり、評価や適性観察で異動する」という人事運営のポリシーを役員はもとより全社に向けて宣言するような図だ。
特に平田の思いが集約する異動は、この図には隠れているが「役職制度の整備」が平田の胸の中で沸々と構想されていた。
中間報告には各制度の方向性と基本的考え方を出さなくてはならない。
例えば、
賃金制度では、賃金は何に対して払うのか。能力か、成果か、年功か。そしてどのように払うのか。ドラスティックに大きく変動するのか、それとも穏やかに払うのか。
コース別社員制度では、コースを何で分けるのか。本人の希望はどう受け入れるのか。男女の違いは?といったことである。
詳細設計は後にするとして考え方は提案しなければならない。その上でそもそもなぜこんな提案をするのかという人事の新しい理念を了承してもらわなければならない。
それでこそ初めて新しい人事改革が緒についたことになる。

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